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ルイヴィトンモノグラムアーツィー編集

 兵吾はヨンの、彼の背中に回りかけていた手を握り返した。  だが、それをそのままぐいっ[#「ぐいっ」に傍点]、と引っ張って自分から引き離す。  そして冷ややかな目でヨンを睨みつけた。 「——何故《なぜ》だ?」  握る手は、明らかに女性を相手にするには強すぎる力がこもっている。 「どうして、特別扱いなんてことが起きるんだ?」 「…………」  ヨンの顔から、甘い表情が消える。 「そうだろうが——普通の生活をさせて、人間の精神を安定させるのがこの世界の目的なんだから、特別扱いなんかしたら�バランス�とかを崩す怖れがあるんじゃないのか」 「それは、それだけを見ればその通りよね」 「じゃあ、なんでだ? さっさとナイトウォッチの�コア�だかなんだか知らないが、そいつを再設定して、俺から外せばいいだろうが。明らかにこの世界にとって今の俺の立場は都合が悪い」 「この世界だけ見れば、それはその通りなのよね、まったく」  ヨンはため息をついた。  そしてかすかに首を振った。 「痛いわ——手を離して」  静かに言う。兵吾は手を開いた。  ヨンはするりと立ち上がる。  そのまま二、三歩前に進んで、兵吾に背中を向ける。
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