ルイヴィトンモノグラムネヴァーフルpm m40155
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null それに——ユイ、あの世界で出会った「娘」がいるということは、きっと「彼」もそこに——。 「……キリトくん——!!」  こちらの声が届いているかどうかはわからなかった。アスナは咄嗟に鳥篭を見回した。何か、声以外に自分の存在を知らせる手段は——。  だが、この鳥篭にあるオブジェクトは全て位置情報をロックされており、何一つとして格子から外に出すことができないのは確認ずみだった。はるか以前に、ティーカップやクッションを落として下界のプレイヤーにメッセージを送ろうと試み、挫折していた。アスナは焦燥に駆られながら金の格子をきつく握り締めた。  いや——。  たった一つ、あった。以前はこの場所に存在しなかったもの。イレギュラーなオブジェクト。  アスナはベッドに走り寄ると、枕の下からそれをつかみ出した。小さな銀色のカード・キーだ。再び格子の前に戻る。カードを握った右手を、恐る恐る差し出す。以前なら、ここで目に見えない壁に阻まれてしまったのだが。 「……!」  右手は、何の抵抗もなく檻から外に出た。クリアシルバーのカードが、陽光を反射してきらりと輝く。 (キリトくん……気付いて……!!)  祈りながら、アスナは躊躇なく手を開いた。音も無く宙に舞ったカードキーは、きらきらと光を振り撒きながら一直線に雲海目指して落下していった。  俺は全身が引きちぎれそうなもどかしさに駆られて、右拳を見えない障壁に叩きつけた。強烈な磁石にも似た斥力によって拳が弾き返され、虹色の波紋が宙に広がった。 「何なんだよ……これは……!」  食いしばった歯の間から震える声を絞り出す。  ここまで——ようやくここまで来たのだ。アスナの心が捕われている牢、そこにあとわずかで手が届く。それなのに、「ゲームのルール」などという曖昧なプログラム・コードにすぎないものが立ち塞がる。  ブラウザを立ち上げて市のホームページを表示させた。自分のものとは思えない右手が自動的にマウスを操り、リンクからリンクへと飛んで戸籍データベースへとアクセスする。  机の上の財布を取り上げ、中から住基ネットカードを抜き出した。レンタルショップの会員になるときくらいしか使ったことのないこのカードを、初めて本来の用途で使用する。十一桁のコードとパスワードを打ち込むと、俺の戸籍データが表示された。